近年になって言われ始めた言葉で「負動産」という言葉があります。本来は不動産だけど、「負け」ている不動産という意味合いの造語です。
我々は京都府木津川市の不動産業者。田舎は「負動産」の宝庫ですので、売却活動は慣れていますが…。
負動産の所有者の方にとってはなかなか頭の痛い問題だったりします。今回はそんな負動産について紹介していきます。
【門前払い】負動産を売りたいけど、売れない。不動産業者に依頼しても難しい物件はどうする?
本来は「不動産」ですが「負動産」。これはいったいどんな不動産でしょうか。
「負動産」とは?
「負動産」とは財産的価値がなく売却自体も困難な不動産を指します。「負債」と「不動産」を合体させた造語と思われます。
一時期は不動産を持てば勝ち組というような時代もありましたが。
日本の人口減少・そして都市部への人口の集中などにより地方の過疎化というものは進みつつあります。それとともに都市部の不動産は投機目的の需要などもあり不動産価格が高騰する中、地方の不動産の価値は下落傾向にあります。
そういった相場の下落というものと、さらにはその物件の個別の事情により「購入する人がいない」と考えられるような物件や無料でも譲り受けてもらえない物件というのも出てきています。
例えばどんなものが負動産?
例えばどんなものが負動産なのかというと、株式会社おるすまに最近入ってきた話で言うと
というようなご相談がありました。なかには不動産業者でも解決が難しい物件というのもありますが、諦めずにいろいろな不動産業者に問い合わせをして相談していただければ、売却・処分まで漕ぎ着けることができる場合もあります。
おるすまの公式LINEからご連絡いただければ、ご相談だけでも乗らせていただきます。
相続で負動産を所有することになるケースが増加
そういった負動産を所有するきっかけになるのが「相続」です。親の代から受け継いだ財産としてそういった負動産というものがあり、処分に困るという相談はたくさんあります。
その負動産以外に財産がない場合は「相続放棄」も検討すべきです。
相続放棄をするとその不動産を相続することは無くなりますが、他の預貯金などの財産がある場合はその財産も相続することができなくなるので相続放棄というのも難しい場合も多いです。
相続土地国庫帰属制度というものもある
相続した土地が不要な場合には「相続土地国庫帰属制度」というものがあります。その名の通り相続して要らない土地を申請して国に帰属させるという制度です。
これだけ聞くと素晴らしい制度のような気がしますが。
実は我々不動産業者からすると、これを使う機会はあまりありません。
なぜならこの制度は申請すれば何でもかんでも国が引き受けてくれるわけではなく、物件にも条件があり、その条件が結構厳しかったりします。大雑把にいうと
- 上に建物が載っていると却下
- 境界など争いのある土地は却下
- 一定の勾配の崖があると不承認
- 車など土地の管理を阻害するものがあれば不承認
などなどの条件があります。
「負動産」ではなく「不動産」なら国も預かってくれるわけです。
こういった形になるので、本当に売却が困難な物件は相続土地国庫帰属制度での処分も難しいですし、逆にいうと相続土地国庫帰属制度で対処できるものは不動産業者に頼めば処理できるということも言えます。
管理や固定資産税などのコストの問題
こういった負動産について売れないのであれば持っておけばいいのではないかという考え方もありますが、不動産は所有しているだけでも管理や税金などのコストが発生します。
土地ならば草刈りをしないと近隣の方に迷惑になったり、崖などは自身の所有する土地の管理不足が原因で事故が発生したりする可能性もあります。
また単純に固定資産税や都市計画税などの不動産を所有しているだけでかかる税金というのもありますので、放置しておける物件であったとしても年間の出費はあります。
負動産は不動産業者にも門前払いされる
負動産を持ってはいるがどうすればいいのかわからないという場合は、やはり我々のような不動産仲介業者に相談するわけですが、
負動産の場合は門前払い的な対応をされるケースもあります。
仲介手数料が少なすぎる問題
不動産業者にとって負動産の売買を引き受けても採算が合わないという問題があります。
不動産業者にとっての利益はその物件が売れた時の仲介手数料ということになりますが、不動産業者が受けることができる仲介手数料は上限が決められており、売れた金額が高ければ高いほど仲介手数料も高くなる仕組みになっています。
そうなると「負動産」ですので、高い値段で売れるわけではありません。物件によっては数百万の仲介手数料がもらえる案件もある中、数十万円の案件には力が入らないということもあり得ます。
特に良い売却依頼も多い大手不動産業者では負動産は門前払いされがちです。
低廉な空き家等の仲介手数料の特例で…
しかしそういった負動産の売却を依頼しに行っても不動産業者が門前払いするというような状態もやや改善されつつあります。
それは「低廉な空き家等の売却における仲介手数料の特例」というもので、令和6年7月からの改正で「800万円以下の売買契約では仲介手数料を30万円プラス消費税をもらっていい」ということになりました。
我々は地方の資産価値低めの取引も多いですのでありがたい改正です。
つまりは、50万円売れた物件の仲介手数料でも33万円もらっても良いということになったわけで、超低価格で売却が成立することが考えられる案件でも不動産業者は一定の仲介手数料を受けることが合法化され売却活動をしやすくなった部分があります。
とはいえ売却が困難にも関わらず、広告費をたくさんかけられる仲介手数料でもないので、一定以上の大手不動産業者では門前払い扱いになるケースもまだまだあると考えられます。
本人には無価値・でも売れる可能性も
こういった負動産というようなワードがテレビなどの情報発信で増えてきたりすると、過剰に自分が持っている不動産が価値のない「負動産」なのでは?と思う人も出てくるのでこれは注意が必要です。
特に相続した案件などでは、相続を受けた売主は都市部などに移り住んでおり、地元の不動産を所有していても使うこともできないというようなこともあり得ます。そういった場合、「自分たちには無価値」というだけで、地元の人には活用方法があったりする場合もあります。
「負動産」と思っていただけで「不動産」の場合もあるわけです。
そういった意味では負動産というのはよく話題になるフレーズではありますが、過剰に価値がないと思いすぎて諦めるのも良くないということが言えます。
まとめ:負動産を売りたいけど、売れない。
- 地方の過疎化で不動産価格は低下し「負動産」が増加している
- 管理や処分の難しさなどから本当の意味での「負動産」もある
- 仲介手数料の少なさなどから不動産業者が取り扱いを拒否する場合もある
- 負動産だと諦めすぎずいろいろな不動産業者に相談をお勧めします。
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