不動産売却において売主が気をつけないといけないことの一つに依頼した不動産業者による「囲い込み」があります。
他社に案内・紹介させずに自社だけで販売活動をしようとすることです。
今回はそんな不動産業者の「囲い込み」について、最もよく行われていると考えられる「オーソドックスな囲い込み」レインズに登録はするけど実質囲い込むという方法について解説していきたいと思います。
不動産業者の「レインズ登録ありの囲い込み」戦術
不動産売却において囲い込みとは他社に紹介・案内させずに自社だけで販売活動をすることで、
何故そんなことをするかというと、売主・買主両方からの仲介手数料をもらえる「両手仲介」をするためにそんなことをしています。
そんな囲い込みですが、不動産業者同士の物件情報共有サイト「レインズ」に登録しないことで、他社に売り物件が出たことを察知させない方法で「囲い込み」をするという方法もあります。
しかしこの方法はあまり一般的な囲い込み戦術ではなく、オーソドックスな囲い込み戦術としては、レインズに登録してルールは守っているフリは維持しつつ、実質的に囲い込みをするという方法になります。
不動産売却依頼を受けるとレインズの登録義務がある
不動産業者は不動産売却依頼を受けると「指定流通機構」いわゆる「レインズ」に登録しないといけません。
宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
宅建業法第34条の2第5項
専任媒介契約の場合にはレインズの登録義務があります。一般媒介契約を選択している場合にはレインズの登録義務はありません。
このようなルール上、不動産業者がレインズに物件を登録せず、情報を他社に漏らさないことによって囲い込みをする作戦としては、
- 専任媒介契約ですがルールを破ってレインズに登録しない
- あえて一般媒介契約にしてレインズに登録しない
方法があります。前者の方はレインズには登録ないけど、スーモやアットホームには掲載があるパターンです。(単純に宅建業法違反になりますが)後者の方は、自社しか売却を依頼されていないので本来は専任媒介契約にすべきところを「あえて一般媒介」にしてレインズの登録義務を回避する戦術です。
レインズには登録するけど「商談中」
現代の悪質な不動産業者が行う囲い込みの方法で最もオーソドックスな方法が、「レインズに登録はするけど商談中という」というパターンです。
普通の不動産業者っぽくレインズに売り物件の登録をして、その情報を見た他社が「この物件紹介させてください」って言ってきた場合は、「商談中なんで紹介できません」と言って断るわけです。
この方法を取れば宅建業法違反にもなりません。
「商談中」以外にもいろいろな言葉がありまして
- 「売主事情で売り止め」
- 「残置物の撤去待ちの状態で一時的に…」
- 「居住中で売主さんの都合がつかない」
などなどいろんなバリエーションがあります。
しかし正直言って「商談中」以外はツッコミどころができてしまい、話が長くなってしまいます。いつ紹介できるようになりますか?その状態なら普通売却活動自体ストップしてレインズから削除しません?とかそんな会話になるので、話がそれ以上進みようのない「商談中」が1番定番になります。
不動産業者の物件確認の電話を売主さん本人が自分でしてみたらしいのです。
「〇〇不動産の●●です。一件物件確認なんですが、〇〇市●●町・中古戸建て・2980万円」っていう感じで不動産業者同士は物件を確認する定型分の電話があるのですが、それを不動産業者と偽って電話したそうです。
すると「商談中です」と答えられたそうで…。
売却を担当しているその不動産業者の営業マンに聞くと、「いやー問い合わせがまだなくて…」と言って商談中ではないのに他社には商談中と伝えているというのが発覚したそうです。
レインズ登録するも「図面登録なし」
その他にもレインズの登録はするものの図面の登録はしないという方法もあります。図面というのは物件概要書と言ったりもしますが、不動産を探すときに見せられる物件資料みたいなものです。
レインズに物件情報を登録してもこの図面がないと詳しい状況がわかりません。特に建物のある物件の間取り図や土地においても土地の形などは図面がないとわかりません。こういった状況になるとレンズに登録されても他社としてはお客さんに紹介しようがない状態になります。
これも実質的な囲い込み状態といえます。
もちろんレインズに登録してあるので宅建業法違反と直ちに言えない内容です。「形質」を登録していないのでこれも厳密には業法違反なのではないかという意見もありますが。「4LDK」とか「整形地」とか書いてます。ということも言えます。
この方法をされていないかの確認は「レインズの登録証明書」というものを出してもらうとわかります。下の方に図面登録あり・図面登録なしという項目がありますのでチェックしてみてください。
確かにそういった場合もあるにはあるのですが、普通の不動産業者ではなかなかない状況です。
まず図面登録なしでレインズに登録してしまうと、他社の事務員さんから電話で「物件資料をFAXください」という電話が大量にかかってきてしまいます。図面を作るより電話対応の方が大変なくらい電話が来ます。ですので図面ができない限りレインズにもあげない対応をする不動産業者が非常に多いです。
また図面を作るのは結構簡単にできてしまいます。特に不動産売却においてはアットホームさんなどに掲載する不動産業者も多いですが、アットホームさんのサービスを使えば、ネットに公開するような情報を入力するだけで、ワンクリックで図面ができます。
アットホームに掲載済みなのに「図面がまだ作成途中で」とかは、ありえない状態なのです。
このような方法でレインズには登録するけれど、図面を登録せずに囲い込みをするという方法もあります。
図面登録するも「間取り図どーん」
最後にレインズにも登録する、そして図面登録もするけれど、その図面が「間取り図の画像だけ」というパターンもあります。
この場合も他社からするとパッと出せる図面がないためお客さんには紹介しづらい状況ではあります。
このパターンは囲い込みというよりはパソコンスキルの無さというだけの可能性もありますが。
不動産業界においては結構年配の不動産屋さんもいます。昔はレインズの図面登録機能というと物件の「間取り図」だけ載せてたりした時代もあったそうです。そのような時代から進化せずにやってきた不動産業者というパターンも考えられます。
しかしこれも故意の囲い込みというものではなかったとしても、やはり他社の営業マンからするとお客さんに紹介しづらい部分が出てきますので、売主にとっては「損」しかない状態ということも言えます。
まとめ:不動産業者の「レインズ登録ありの囲い込み」戦術
- 不動産売却で注意が必要な「囲い込み」
- レインズ登録はするけど問い合わせると「商談中」
- レインズ登録はするけど図面は登録しない
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