不動産を売却する場合に色々調べると最終的に辿り着く話というのが「両手仲介か片手仲介か」の話です。
一般的には「両手仲介」の風当たりが強いですが、現状不動産業界では両手取引も多いです。
今回はそんな両手仲介と片手仲介について解説していきます。
両手仲介と片手仲介とは?
そもそも両手仲介と片手仲介とは一体何なのでしょうか。
両手仲介と片手仲介とは
両手仲介とは、売主から売却を依頼された不動産業者が、自社で購入者を見つけてきて売買契約を締結する方法です。「両」方から「手」数料がもらえるので両手仲介・両手取引と言ったりします。
逆に片手仲介とは、売主・買主の一方からしか手数料を貰わない仲介のことです。他社が売却依頼を受けた物件の購入者を見つけたか、自社で売却依頼を受けた物件を他社が購入者を探してきた場合に片手取引になります。
これからもわかる通りに、不動産業者としては「両手仲介」の方がありがたいです。両手仲介は片手仲介の2倍儲かります。そして他業者が取引に入ってこないですので不動産業者同士の能力の差ややり方の違いでもめる心配もないので安心です。
日本での両手仲介率は結構高い
この両手仲介と片手仲介の話ですが、日本では結構両手仲介の比率が高いことが、問題視・疑問視されています。
公益財団法人不動産流通推進センターの2023年の不動産業統計集などをみても大手不動産仲介業者の両手仲介率はその会社の3割から6割を占める企業が多く、多くの不動産業者で両手仲介が積極的に行われていることがわかります。
不動産売却を頼んだところ以外にも無数に不動産業者がいるのに、契約の5割が自社で買主を見つけることができているのは、多いと見ることもできますね。
こういったところで、不動産業者は儲けの多い両手仲介を狙い、ひいては売主側にメリットのない「囲い込み」を行なっているのではないかという疑いもあるわけです。
両手仲介は囲い込みの原因となる
このような両手仲介率の高さは、囲い込みをしていることを示しているという考え方もあります。
不動産物件を売却する依頼をたくさん受けている企業には、それだけ不動産を購入したいと思う人も集まってきますので、そういう出来事の結果として両手仲介が増えているのであれば問題ありませんが、不動産業者が利益率の高い両手仲介を狙うあまり
- 他業者に情報を開示しない
- レインズに掲載しない
- 商談中などと言って紹介させない
などなど様々な方法をとって他社の客づけを防ぎ、自社の両手仲介を成立させようとしているとすると、その物件の売主にとっては他社の紹介しようとしたお客さんが購入しその物件が売れるチャンスを失っていることになるため、よくありません。
こういった両手仲介には囲い込みの原因になっているのではないかという要素もあります
利益相反になるから海外で「両手」は禁止が多い
また両手仲介というのは、利益相反になるため世界的に見ると禁止されている場合が多いということも言えます。
売主に売却を依頼され「高く・早く・売主に有利に不動産売却を成功させないといけない」立場の不動産業者が、同じ取引で買主に購入のサポートを依頼されてしまうと「安く・買主に有利な不動産購入を成功させないといけない」立場になってしまいます。
正直に言うと両手取引をする時にごく稀に「これどっちにつく?」っていう悩みはあります。本当に正直な話ですが…。
この二つは成立しない、利益相反の関係になりますので法律禁止されている地域もあるわけです。
なぜ日本で両手仲介していいのかは難しいところですが、単なる法律の話をすると日本の民法では双方代理というのは禁じられていますが、不動産の両手仲介については「単なる取り次ぎなので双方代理に当たらない」と判断されているため、両手仲介は合法だと言われています。
実務的な話をすると、不動産業の取引では売主買主ともに複数の不動産業者に相談するのが普通です。ですので、あまりに間違ったこと、あまりに不利な提案をすると結構すぐバレてお客さんに切られてしまうという側面があります。ですので両手仲介であろうとあまりに不当なことも簡単にできるわけではないという部分もあります。
正直どっちにつく?ってシチュエーションもありますが、どちらかというと審判をしている気持ちでやることにしています。
両手仲介を狙う不動産営業が悪か…
このように日本の不動産業界の情報発信的にはどちらかというと「両手仲介が批判されている」のが普通です。ですが普通に両手仲介が行われていますし、
おるすまも結構両手仲介が多いです。
次に両手仲介を批判的に言う話もある一方で、両手仲介を含めて日本の不動産業界がどんな感じで動いているのか紹介していきます
売却依頼を頼まれたら両手仲介を目指すのは普通
基本的に不動産の持ち主の方から売却依頼を受けた場合、不動産業者は基本的には両手仲介を狙います。
おるすまも売却依頼を受けたら、頑張って自社で買主さんを探そうとします。
これはもちろん先ほどから解説している通り、片手仲介になると儲けが少なくなるためという意味もあります。ですがそのほかには
- 頼まれた売却依頼は自分で買主を見つけたい
- 依頼された自分以上にこの物件に詳しい営業マンが他にいない
- 依頼された自分以上にこの物件に熱量ある営業マンが他にいない
というような意味合いも大いにあります。スーモやホームズなどに掲載して置いておけば誰でも売れる物件ばかりではありません。時にはチラシを配布したりと「片手仲介」では誰もやらないようなことも必要になる場合もあります。
現状日本の不動産業界のルールにおいては片手仲介は、不動産業者の熱量が低いです。ですので人気のエリアで欲しいと思う人がたくさんいるような物件であれば片手仲介でも売却は成功するかもしれませんが、売却成功には「両手仲介」業者の熱量が必要な場合もあります。
そういう意味では両手仲介は利益相反などの問題を抱える「あるべき姿と言えない」部分もあるのかもしれませんが、今自分が持っている家を売るためには「両手仲介」の業者に頼んだ方が良い場合も結構あると思います。
売主専門業者の浅い感じの両手仲介批判
ネット上の情報発信などで両手仲介を批判している不動産業者の多くが「売主専門不動産業者」「セラーズエージェント」的な立ち位置で情報発信をしています。売主からしから手数料を貰わないスタイルで不動産売却物件を募集する不動産業者です。(ですので買主は自社で探しません)
こういった不動産業者が、
- 両手仲介は利益相反です
- うちは売主からしか手数料もらいません
- 100%売主の利益を優先する不動産業者です
- だから不動産売却相談をしてください
というような流れで宣伝活動をするため、「両手仲介は利益相反」というような発信をしている不動産業者はほとんんど売主専門不動産業者ということになります。
現在の不動産業界においては「片手仲介」で売れる不動産はむしろ少ないので、私自身は「売主専門業者」は「良い物件のみ扱います!」って言っているだけの不動産業者に見えるのですが…。
その話は置いておいて、両手仲介は利益相反というのは間違いではないですし、発信としては全然OKだと思います。ですが、
「海外では両手仲介なので…。」みたいな話は、海外のエージェント制にも色々問題点があることについてはどうなんだろう…とか。「売主専門は〇年先をいくサービスです」などなど売主専門業者特有の表現には多少違和感があります。
日本の両手仲介については、お客さんが不動産業者をコロコロ変えるという習慣で大きな不正ができないようになっています。ある程度は不正はしにくい仕組みができているとも言えるので、このまま両手仲介が生きたまま続いていくという可能性は全然あるかと思います。
購入側に対する営業能力が問われる不動産業者
あと一つ「両手仲介は利益相反だから」→「売主専門の不動産業者がいい」ということ言っている不動産業者あるあるなのですが、そういった売主専門業者は基本的に購入検討者への営業スキルが高くないというものがあります。
大手出身など元々不動産を売却する売却物件募集の営業・集客活動に自信があるだけで、それを購入検討者に売る営業というのを得意としていないタイプの不動産業者が、思い切って片手仲介に舵を切り、買主から仲介手数料をもらうことを諦め、
購入側に対する営業に自信がないから諦めました!というのは恥ずかしいから。
売主にしか手数料もらいません!誠実な不動産業者です路線に行き、得意な売却物件募集活動をさらにレベルアップさせて売れやすい物件を集める方針というケースが非常に多いです。
そういった意味では売主専門業者は、自分のできない仕事を放棄して、放棄した仕事の分の手数料をもらいませんと言っているだけの不動産業者で、両手仲介が問題です!とかそういう問題意識や将来このような仕組みになるはずと思って売主専門サービスを展開している企業はほとんどないと思います。
両手仲介と片手仲介とは?:まとめ
- 両手仲介は片手仲介の2倍儲かるから不動産業者は嬉しい
- 日本は両手仲介が可能で、世界的に見ると利益相反の観点から違法の場合もある
- 両手仲介は囲い込みの原因ともなっている
- 両手仲介を批判的にいう意見もあるが熱量高く売らないと売れない物件は両手仲介で販売されているのが普通
- 売主専門業者は両手批判に走りがちだが、彼らにも謎な部分はある。
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