不動産を売却するに際して、購入希望者が現れて売買契約も終了。あとは決済・引き渡しという作業が待ち構えています。
物件を引き渡し、売却の代金をもらう。ついに現金化できるタイミングです。
売主にとってはやっと全てが終わったと安心でき、買主にとっては新生活のスタートを切れるというタイミングになります。そんな不動産売却における決済について売主側の注意点をご紹介していきたいと思います。
不動産売却の決済・引渡しとは
不動産売却の最後の手続き、物件の引き渡しと売買代金のやり取りは「引き渡し」という言い方もしますが、よく「決済」という言葉でも表現されます。
住宅ローンの融資の実行であったり、それを契約書通りに売主に対して支払いの実行をしたり、すべて予定していたことを実行していくことからそう呼ばれています。
代金授受は銀行振込か現金受け渡しか
不動産売却における決済・引き渡しの売主にとって重要な要素はやはり売買代金の受け渡しです。
代金の授受は基本的には銀行振込になります。現金で大金を持ってこられても数えるのが大変ですし、数え間違いないどもあり得ます。またそれを銀行の口座などに入金するまでに紛失したりする可能性もあります。
銀行振込で代金の授受をする場合には、金融機関などに行って振込作業をします。大体の場合は金融機関側に不動産の決済をするという事情を説明して、応接室などを借りて手続きを行います。
後で話しましすが金融機関によっては応接室を貸してくれないこともあります。
基本は振込ですが、やはり現金で売買代金の授受をする場合もあります。金額がそれほど高くない場合などは現金を持ってきてもらって受け渡しするというケースも増えてきます。
現金での受け渡しの場合は、金融機関でなくても決済することができるので、不動産業者の事務所などで決済・引き渡しの手続きをするのが一般的です。現場やお客様の自宅でという場合も時々あります。
司法書士の立ち会いが普通
不動産の決済をする場合には司法書士に立ち会いをしてもらうことが普通です。
司法書士の方に何をしてもらうかというと所有権の移転登記であったり、抵当権の抹消や設定の登記など「登記」作業をしてもらうことになります。
この登記作業自体は売主と買主が協力して行えば自分たちでできるものですので、絶対司法書士の立ち会いが必要かと言われるとそんなことはないですが、登記手続きは一般人にはとても難しいということと、信用できる専門家が立ち会うことによって不正などの心配も少なくなります。
当事者本人なのかどうかや適正に支払いが行われたのかなど、登記する際に司法書士には確認する義務がありますので、司法書士の立ち会いには売主買主双方ともに騙されたりするリスクを軽減する意味もあります。
決済・引き渡しに必要なもの
不動産の決済・引き渡しに関して売主側で必要なものはというと、
- 物件の登記識別情報(権利証)
- 実印
- 印鑑証明書
- 物件の鍵
- 領収書
になります。
物件の登記識別情報(権利証)と実印と印鑑証明書で物件の登記を司法書士に依頼して買主の名義に変更してもらいます。その他にもその物件に抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消のための書類が必要です。また住所地が登記簿と現在で違う場合は住民票がいる場合もあります。
物件の鍵はもちろん物理的に不動産を引き渡すため必要になります。
領収書に関しては、買主からお金をもらうわけですので必要になります。ですが一般的には不動産仲介業者側で用意しますので、その用意された書面に署名押印していただく形が多いと思います。
決済・引き渡しの当日の流れ
それでは実際に不動産売却で決済・引き渡しを行う場合の当日の流れはどんな感じかというと、
①金融機関に集合・応接室などに通される
まず売主・買主・不動産業者・司法書士などの当事者が金融機関のブースや応接室に集合します。
②司法書士が書類を確認
次に司法書士が取引に関する書類を確認していきます。売主・買主本人なのかというようなところや、登記するにあたっての書類が全て揃っているのかというところをチェックしてもらいます。
③司法書士のGOサイン
確認が終わると司法書士が取引のGOサインを出します。買主が金融機関に住宅ローンなどで融資を受ける場合は、融資を実行し買主の口座にお金を入れて良いですというような形で金融機関側の担当者に伝えます。
④決済金の支払い手続き
融資が受けられるとそのお金を売主側の口座に振り込みする手続きをしていきます。銀行の窓口でするのと同じように、振込伝票に金額や振込先を書いていきます。物件代金の他にも不動産業者に支払う「仲介手数料」や司法書士に支払う「登記費用」なども振込む手続きを同時にするのが普通です。
この部分でもう何をどこに振込させられているのかわからなくなりがちなので、自信のない方は事前に我々不動産業者と予習をしておいた方がいいと思います。
⑤解散・司法書士は登記手続き
振込作業が全て終わると、金融機関の担当者が手続きの終わった伝票の控えや通帳を持ってきてくれます。入金などが完了したことを確認して、領収書の受け渡しが行われて終了になります。司法書士はその後登記申請を法務局に行います。
不動産売却の決済の前に売主がしておくこと
不動産売却の決済の前に売主がしておくこともあります。
抵当権抹消の準備など
売却する物件を購入したときに住宅ローンで購入した場合には金融機関が設定した抵当権という権利がついている場合があります。
抵当権の抹消は金融機関側の書類が必要になるため、事前に金融機関の方に「抵当権抹消の書類を発行しておいてください」といっておかないといけません。決済日当日に言われても用意されていないので決済前に売主側で金融機関に依頼しておく必要があります。
固定資産税などのランニングコストの日割り精算
次に固定資産税などのランニングコストの日割り精算を計算しておく必要があります。マンションなどの場合は管理費や修繕積立金なども日数に応じて金額のやり取りをし、売主買主で不公平のないように精算するのが無難です。
精算の仕方や精算書類などはわれわれ不動産業者が作りますので、売主さんには書類集めだけしてもらうお願いいたします
固定資産税や都市計画税は「固定資産税・都市計画税の納付書」もしくは「固定資産税評価証明書」で1年間の金額が把握できます。
管理費や修繕積立金はマンションからの書類やハガキなどで支払額が確定できるので、それを売主・買主のそれぞれの所有することになる日数で割り算して負担額を出していきます。
契約の条件を達成するための作業
その他に売主側で不動産の売却の決済前にしないといけないことは、売買契約で条件などがある場合はその作業をしないといけません。例えば
- 土地の確定測量をする
- 建物を解体し更地にする
- 建物内の残置物を全て持って帰る
などなど引き渡しまでにしないといけないことがある場合は作業を終えておくのが基本です。
不動産売却の決済の後に売主がすること
不動産売却の決済が終わると売主側はすることは多くありません。
取引に関する書類の整理
不動産の決済街終了したら書類はの整理をしておきましょう。具体的には不動産を売却すると翌年の2月・3月の時期に確定申告というのをする必要があります。そのために書類は「基本的には全部残しておく」という方針でいてください。
間違ってもこの部分は捨てて、契約書だけ残しておくとかはやめてください。
決済後に送られてくる書類の対応
決済後に売主側に送られてくる書面もありますので対応する必要があります。
まず司法書士事務所から郵送で登記完了の書類が届きます。こちらは受け取って保管しておくだけで大丈夫です。
あとは納税の時期に行政から固定資産税の請求がきます。法律では1月1日の所有者に1年分の固定資産税を請求することになっていますので、引き渡し後の最後の1年分は売主側に請求がきます。もう売ったから払う必要はないということはないですので、納税手続きをとりましょう。
先ほども説明しましたが、固定資産税の精算金として買主から所有日数に応じて精算金を受け取っている場合が多いですので、そのお金と自分の負担の分で納税しましょう。
1月から5月までの不動産取引の場合はその年の固定資産税の金額が不明な状態です。その場合①1年前の税額を参考に精算する場合と②引き渡し後に税額が確定後精算する場合があります。ほとんどの場合不動産業者は①で手続きしますが、②の場合は引き渡し後も精算手続きがまだ残っていることになるので、決済後も忘れずに作業をしましょう。
税金の申告
先ほども話に出てきましたが、不動産を売却した場合には次の2月・3月の時期に税務署に確定申告をする必要があります。
不動産の売却によって儲かっている場合は「短期譲渡所得」にあたるのか「長期譲渡所得」にあたるのかにもよりますが、所得税の納税が必要になります
儲けが出ていない場合も一定の条件下では損益通算や繰越控除などの他の所得のプラスと相殺することができます。
まとめ:不動産売却の決済で売主が注意すべきこと
- 不動産売却の決済は銀行で振込作業
- 登記識別情報や印鑑証明など事前準備も必要
- 司法書士の立ち会いのもと
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