不動産を売却する際にとても重要なキーワードの一つに「契約不適合責任」という言葉があります。
契約不適合責任を理解しないまま、不動産会社や買主の言いなりで取引を進めていくと、後々に大きな損害を被る可能性があります。
今回の記事では、「契約不適合責任」をはじめ、不動産の売却を検討中の方が「絶対」に知っておくべき法律知識をわかりやすく説明していきます。
契約不適合責任とは何?
契約不適合責任とは?難しい言葉でわからない方も多いと思います。
契約不適合責任とは
「契約不適合責任」とは、売買契約や請負契約に基づいて引き渡された目的物に、目的物の種類・数量・品質について、契約内容と異なる不具合(契約不適合)があった場合に、売り主や施工者が、買主や施主に対して負う責任のことをいいます。
例えば、中古住宅を購入した場合に、雨漏りが生じていたり、給排水設備に欠陥があったりした場合には、契約上その不具合を前提として契約したのでない限り、売り主は契約不適合責任を負うことになります。
売買契約の際に、物件の問題点をすべて申告しておかなければ、売主は契約不適合責任を負い、場合によっては損害賠償を請求される可能性もあります。
契約不適合責任は「免責」できる
売主が一般個人の場合、契約不適合責任を「免責」にすることができます。つまり、物件に瑕疵があっても売主の責は問われなくすることができます(免責特約)。
売主が一般個人の場合は売った物件について引き続き責任を負うとすると過剰な負担になるからです。
このような場合は、重要事項説明書の「契約不適合責任」の欄に抹消を表す斜線が引かれていたり、売買契約書の特約にて「売主は、一切の契約不適合責任を負わないものとし、買主は契約不適合による修補請求・解除は出来ないものとします。」といった文言が加えられます。
中古戸建、中古マンション、土地の売買契約は、ほとんど契約不適合責任免責(免責特約)で取引されます。
売却を依頼する仲介業者には、免責特約を必ずつけてもらうように伝えましょう。
無条件で「免責」できるとは限らない
免責特約があったとしても、売主が知りながら告げなかった事実等については、その責任(民法562条1項本文等に規定する場合における担保の責任)を免れることができません(民法572条)。
例えば、漏水があることを売主が知りながら、買主に告げなかった場合、売主は修補などの責任を免れることはできません。
なお、売主が、事実を知らなかったものの、知らなかったことについて過失がある場合、免責特約による免責が認められるかどうかについては、下級審判例の判断は分かれています。トラブルごとに裁判所が都度判断するということになります。
契約後のトラブルを防ぐためには
それでは
「正直」に「すべて」の瑕疵や問題を告げる!
契約後のトラブルを防ぐためにも、売主は買主に対して、すべての瑕疵や不備を告げなければなりません。
内覧時に売主が立ち会う場合に、直接買主に説明することも、トラブル防止の点では有効です。
もちろん、問題点を伝えることで、買主の購入意欲を失わせてしまうこともあるでしょう。
しかし、目先の利益に目がくらんで、後々に大きな損害を被ることになってしまえば、本末転倒です。
仲介業者と媒介契約を結ぶ際に、過去に生じた瑕疵や、現在も生じている瑕疵や問題など、しっかり告げておきましょう。不動産仲介業者にさえ伝えておけば買主さんに理解してもらった上で話をまとめる事ができたにも関わらず、後から伝えられることにより不信感が募り売れないというケースもあります。
物件状況報告書(告知書)と付帯設備表
売買契約時に、宅建業者から買主に対して重要事項説明書が交付されます。
これに加えて、物件状況報告書(告知書)と付帯設備表という書類も交付されます。重要事項説明書と合わせて、売主と買主双方の署名と押印がなされます。
物件状況報告書(告知書)は雨漏りやシロアリ被害の有無など、付帯設備表はキッチン設備や給湯設備などの不具合などを記入します。
どちらの書類とも、正直に洗いざらい記入する必要があります。
免責特約がある場合でも、物件状況報告書(告知書)と付帯設備表の記入は必須です。
「免責特約がある場合は告知書はいらないよ」と言う不動産業者が時々いますが、トラブルが生じた際に、瑕疵を知っていた知らなかったの水掛け論に発展する恐れがありますから、必須の書類であると認識しましょう。
契約不適合責任に関する法律
契約不適合責任についてはさまざまな法律で規定されています。
「契約不適合責任」関する民法の規定
民法では、物件に「隠れた瑕疵」があった際には 「契約を解除したり、売り主に損害賠償を求めたりすることができる」 と定められています。
隠れた瑕疵とは、買い主が購入時にその事実を知らないこと、説明もなされていない物件の欠陥や不具合のことを言います。売り主が瑕疵担保責任を問われるのは、買い主がその瑕疵を知ってから1年以内とされています。
宅建業法におけるの「契約不適合責任」
民法の他にも契約不適合責任について宅地建物取引業法にも定められています。
宅建業法には売主が宅地建物取引業者、つまり不動産業者の場合、契約不適合責任を免責することはできないということが書いてあります。
宅建業者は不動産のプロ。引き渡し後にも責任を課しても重い負担とは言えないという考え方です。
期間としては物件の引き渡し日から最低2年間 の瑕疵担保責任が課されています。
住宅の品質確保の促進等に関する法律
新築住宅は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、完成引渡しから10年間の保証が義務となっています。
新築住宅に関してはより良い住宅を提供していくために売主側に思い責任を課しています。
保証が義務づけられているのは、「基礎などの構造耐力上主要な部分(基礎、柱、屋根、床、小屋組、土台、筋交いなど)」「雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁など)」に限られます。
まとめ:「契約不適合責任」って何!? 不動産売却時に知っておきたい基礎法律知識!
今回の記事では、契約不適合責任や仲介手数料の上限など、不動産を売却する際に知っておきたい基礎法律知識について説明してきました。
- 家の問題点は事前に買主に伝えておかないといけない
- 契約不適合責任は免責にしてもらう場合も多い
- 不動産の瑕疵については告知したことを明確に書面化しておく必要がある
トラブルを防ぎ、気持ちのよい不動産売却を進めるためにも、法律知識に詳しい頼れる仲介業者を選びましょう。
契約不適合責任についても適切な対応を提案させていただきます。不動産売却に関してお気軽にご相談ください。
YouTubeおるすま不動産売却チャンネルでは不動産売却に関するお役立ち情報を発信しています。もしよければチャンネル登録よろしくお願いします。
どんなことでもお気軽にLINEしてください。
コメント