不動産を売却しようと考えたものの、途中で売却をやめたい場合や、売却依頼した不動産業者を変更したい場合なども出てくるものです。こんなとき不動産業者とした媒介契約を途中解除できるのかという問題が出てきます。
途中解約すると費用請求される場合もあります。
今回は売主都合で不動産業者とした媒介契約を途中解除する場合はどのようなことになるのか紹介していきます。
売主都合で専任媒介契約を途中解約する場合
不動産業者に不動産売却を依頼するときには一般媒介契約と専任媒介契約と専属専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約に関しては期間を定めない場合もあり、そもそも途中解約はできると考えられています。他社に依頼して売却を続ける場合にも一般媒介の場合は、複数の不動産業者に売却依頼をすることができますので解除すること自体も不要になります。
解除までにかかった売却活動費用を実費請求
専任媒介契約を途中解除する場合は、そこまでにかかった費用を請求されるというルールになっている場合が多いですので注意が必要です。
不動産業者の媒介契約書の基本型を示している、国土交通省が出す「標準媒介契約約款」には専任媒介と専属専任媒介契約に関しては
標準媒介契約約款
ということが書かれています。これを基本にしているのでほとんどの不動産業者が作る専任媒介契約にはこの内容が書かれています。
一、の部分に関していうと違約金が発生するのは、他社で売買契約を成立させたときなどになるので違約金がかかるということはありません。二、の内容で途中解約をすると「履行のために要した費用の償還を請求することができます」と書かれています。
それまでかかった費用請求ってどんなもの?
売主都合で売却を取りやめる場合にはそれまでにかかった費用を請求されることになりますが、一体どのようなものが請求されるのでしょうか。売却活動にかかった費用になりますので例えば、
- チラシやポータルサイトなどの広告費
- 不動産営業マンが写真を撮影したり案内した人件費・交通費
などが考えられます。あくまで違約金ではありませんので「実費」でかかった費用を返すというものになります。
請求の上限額は仲介手数料の金額
先ほどの標準媒介契約約款の違約金の部分の引用にもあったように、違約金は成約した時の仲介手数料相当額を請求できるということになっています。この考え方から、途中解約した時のそれまでにかかった費用の償還請求も、仲介手数料の上限額までであると考えられています。
他社で売買契約まで成立させた時の違約金が「仲介手数料の額」で、途中解約しただけの実費請求が、本当に実費でかかったとしても仲介手数料以上の金額を請求できてしまうのは、バランスがおかしくなるからです。
不当な請求をしてくる場合は協会に相談
こういった実費請求というものは限りなくグレーになってしまうものではあります。どのような売却活動をしたのかというところに関していうと実際にした不動産業者しかわからない部分もありますので、これだけかかったと言って不当に高額の費用請求をしてくることも考えられます。
費用に疑問を感じる場合は、所属する不動産協会や宅建協会・その業者の監督行政庁に相談してみることが必要です。
不動産業者の義務違反で途中解約する場合
売主都合で売却をやめたいというところもありますが、「不動産業者の働きに不満を覚えてこの会社に依頼したくない」という場合もあります。
不動産業者が義務を果たさないなどの事実がある場合は、違約金や実費請求などもされることなく途中解除することができます。
ある意味途中解約したいがために不動産業者の粗探しをするような状態になる場合もあります。
売却活動の報告義務を怠っている
一番わかりやすく不動産業者の義務違反があるところは、売却活動の報告義務です。
専任媒介契約には売却活動の報告義務というものがあります。専任媒介契約に関しては2週間に1回、専属専任媒介契約に関しては1週間に1回の売却活動の報告義務があります。
些細なことですが、忙しい不動産業者やシステム化されていない不動産業者などは結構忘れる時あります。
契約した後のレインズ登録義務を怠っている
もう一つ専任媒介契約に関しては、レインズの登録義務があります。専任媒介契約は締結後7日以内、専属専任媒介契約の場合は締結後5日以内にレインズに登録しないといけません。
これはレインズの登録証明書をもらい、登録日を見ればキチンとした対応をしたのかどうかというところがわかります。
また多くの不動産業者と査定などでコンタクトをとっている場合には、専任媒介契約を締結しなかった不動産業者などから「〇〇さんが依頼した不動産業者さんまだレインズ登録してないので義務違反ですよ」という情報が入る場合もあります。
積極的な営業活動を怠っている
専任媒介契約を締結してレインズの登録義務を怠ったり、売却活動の報告義務を怠ったりするというのは非常にわかりやすい義務違反です。ですが媒介契約の義務というと、積極的に買主を見つける活動をしてくれるかどうかという部分があります。
この義務違反はなかなか主張するのも難しい部分があります。自分が思っているのような売却活動をしてくれないことが直ちに積極的な売却活動をしてくれていないということにはなりませんし、広告活動が不十分か、見に来た方への営業活動が不十分か、そんなことは定量できるものでもないので、積極的に活動してくれていないと言えるレベルとなると、相当ひどい状態というようなことになります。
何らかの事情で店舗自体の営業活動が停止したというようなレベルであれば言えるかもしれませんが。
囲い込みをしている
また似たような話ですが、売却依頼をしている不動産業者が囲い込みをしているというようなこと、これも積極的売却活動をしているとは言い難いです。
しかしこれも囲い込みをしているのかしていないのか、売主には判断がつかないケースも多い部分があります。
例えば囲い込みのためにレインズの登録をせずに売却活動をしていた場合には、レインズの登録義務違反で専任媒介契約を解除する理由になります。ですがレインズには登録した上で、他業者が問い合わせると「商談中です!」「契約予定です」と言って他社に紹介させずに囲い込んでいる場合には、その他業者の証言も必要になりますので、普通は売主側で察知できるものでもありません。
まとめ:専任媒介契約を途中で解約する方法
- 専任媒介契約を途中解除する場合は実費請求できるルールになっている
- 標準媒介契約約款に従って媒介契約書が作られていると違約金はない
- 専任媒介契約で売るのをやめたい時の基本は期間満了を待つ
- 不動産業者に落ち度がある場合は途中解約もできる。
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