マンションを売却する理由の一つになるのが管理費と修繕積立金です。普通の一戸建てや土地を所有していて使わなくても年に1回固定資産税がかかるだけですが、マンションの場合は毎月管理費と修繕積立金がかかってきます。
使ってもいない不動産の管理費などを支払っていくのはお金持ちでない限り難しいと思います。
今回はそんなマンション売却における管理費と修繕積立金について紹介していきます。
マンション売却時の管理費・積立金はどうなる
マンション売却時においては管理費と修繕積立金は引き渡し日に応じて日割り精算するのが普通です。
管理費・修繕積立金とは
まず管理費と修繕積立金とは何かというと、マンションの維持や管理に必要なお金です。
管理費は共用部の清掃やエレベーターの点検、庭の草木の手入れや、廊下やエレベーター自動ドアの電気代などマンションの専有部分以外の部分で日頃かかってくる費用になります。こういった費用を専有部分所有者からお金を集めて支払っていくわけです。
一戸建てを所有すると自分の庭の手入れなどは当然自分の負担でするわけですから、それをしない代わりにみんなでお金を持ち寄ってやってもらっている感覚です。
修繕積立金は、敷地や共用部分の定期的な修繕や不測の事態に備えるために貯めておく費用です。
こちらも一戸建てなども修繕のための費用は自己負担になるので、それを大人数で貯金しているというようなイメージの費用になります。
売却の場合は引き渡し日で日割り精算
そうなるとそのマンションを売却した場合には管理費や修繕積立金はどうなるのかというと、当然引き渡しが済めば次の所有者に支払い義務が承継されます。
管理会社の手続きに従って、売買契約や物件の引渡時などに所有者の名前や入居者や連絡先など個人情報の登録があります。それと一緒に管理費・修繕積立金の引き落とし口座を登録するのが一般的です。
また月末ぴったりの日に所有権を引き渡す取引ばかりではありませんし、管理会社の手続きなどによっては時間がかかるため「何月分までは前所有者の方から引き落とされます」というようなことになる場合もあります。
そうなると「この期間は自分が所有者じゃないのに管理費と積立金の負担をしていて不公平」ということになります。
数千円から数万円の細かい話になりますが、不動産取引ではそういった細かい部分もフェアに計算しないとトラブルの原因になります。
そういったことを避けるため、引き渡し日を基準に日割り精算をするのが普通です。何月分は前半13日には売主の所有・後半17日は買主の所有ならその日数に応じて負担するという考え方になります。
修繕積立金は返ってくるという誤解
管理費は日々の管理のお金ですので払いきりのイメージでお支払いの方も多いですが、修繕積立金に関しては、マンションを売却した場合積立額が返金されると誤解されるケースも多い費用です。ですが実際はマンションを売却しても積立金の返金はありません。
ほとんどのマンション管理規約に「納付した管理費等及び使用料・修繕積立金についてその返還請求または分割請求はすることができない」などと記載されています。
マンションの修繕積立金は所有者個人が積立貯金的に積立いるわけではなく、マンション自体がマンションを維持していくために積み立てているものになります。
その原資が皆さんのお支払いなだけでマンション全体の財産になります。
マンション売却時にマンションの修繕積立金を切り崩していったら予定していたマンションの大規模修繕などもできず最終的にはボロボロのマンションになってしまいます。
管理費修繕積立金を滞納していたら?
不動産売却にはいろいろな事情があるもので、お金に困って売却される方もいます。そんな中で管理費や修繕積立金を滞納していたら中古マンションの売却にどのような影響が出るのでしょうか。
基本的には買主が支払うことになる
まず第一に滞納している分を誰が払うの?という部分になりますが、区分所有法第7条1項、8条には
第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
区分所有法
第八条 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
というように記載しており、基本的には売主が滞納したものでも「特定承継人」つまり次の所有者である買主が支払わないといけないルールになっています。
重説に滞納があるかは説明義務がある
ですがそうなると購入希望者からすると何百万も管理費や修繕積手金の滞納があるかもしれないのに安心して購入できないということになります。
ですが「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によるとマンションなどの売買に際しては、重要事項説明書に
- 修繕積立金の額や積立額
- 前所有者の滞納の有無や滞納額
を記載しないといけないことになっています。ですので買主が知らずに売主の滞納分を負担しなければならない状況になるのは考えづらいでしょう。
滞納負担額も考慮に入れて買うかどうか
そうなると大切になってくるのが管理費や修繕積立金の滞納がある場合には「滞納額を考慮に入れて物件価格を考える」ということが大切です。
滞納負担額の分安く買えていないとダメなのは当然です。
修繕積立金増額のタイミングで売却
最後に修繕積立金の増額のタイミングで売却するという話が多いというところも紹介しておきます。
最近のマンションは初期の修繕積立金の支払いを少なめにして後半になるにつれて金額を上げていくという物件が非常に多いです。
このマンション最近売却希望者が多いと思ったら、修繕積立金の増額の動きがあるんだ。
というようなこともあります。やはりコストが増加すると満足度も下がりますので、売却を希望する人も増えるということです。そういった理由で物件が増えると需要が多くなり、ライバル物件も多くなるのでなかなか売れなくなったり高くは売れなくなります。
修繕積立金が増額されるような話があるというところでマンション売却を検討するにしても早めに動く必要があります。
まとめ:マンション売却の管理費・積立金
- マンションの管理費・積立金は引き渡し日基準に日割り精算する
- 修繕積立金は売却しても返ってこない
- 滞納がある場合は基本的には買主が負担する
- 修繕積立金は増額になる場合がある。
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