不動産売却をする場合に共有不動産の売却となると、1人の意思決定で決まらないということもありトラブルになるというケースもあります。
前のページでも解説しましたが、トラブルになるケースの方がめちゃくちゃ少なくて、基本的には共有している人全員が売却の意思を持っているので全員合意で普通に売却が進むのですが、
仕事として不動産売却をしているやっぱり揉めている案件にもあたるというものでして。。。
今回はそんな共有名義の不動産の売却について揉めている・トラブル事例を紹介します。
親族間の問題そして相続問題も…
共有不動産の処分でトラブルになる事例は相続か離婚が多いですが、その相続問題でのトラブルは、
- 単純に喧嘩をしたパターン
- 相続を重ねて共有関係が複雑化したパターン
があります。
単純に仲が良くないパターン
まず一つ目に挙げられるのが単純に仲が良くないパターンです。親族だからといって仲がいいものばかりではないです。親子間もそうですし、兄弟間の仲が良くないパターンも見られます。離婚問題の場合は元夫婦間での共有もあり得ます。
基本的には親族であろうとも別の人間なので放置しておけばいいですが、共有名義の不動産があるとなると別の話です。仲が良くない人とも協力してその不動産を処理しないといけません。
このパターンでよくあるトラブルの原因は個人的に嫌がらせをしようとしているケースです。
売却して現金化したいという要望を通さないようにするために使いもしない不動産の売却に反対したり、はたまたその不動産を使っている親族を追い出したりして困らせるために売る必要もない不動産を売却しようとしたりというような場合もあります
共有不動産の持分だけを売るという方法は共有している全員にとってマイナスに働くことが多いです。協力して売却したり、協力して売らずに所有した方が、全員にとってプラスになるケースがほとんどです。
単にお金の話だけすると、共有者全員で同じ方向に進むのがベストな話になるケースがほとんどなので、話せば基本的には全部解決します。
ですが中々話がまとまらないのは、やはり根深い関係性の悪さが原因にあります。
相続により共有関係が複雑化したパターン
親族間で関係性が良くない人同士の不動産の共有がある場合もあれば、相続が進むにつれてあまり関係性のない人間同士が不動産を共有しているという場合もあります。
近い親族であれば子供の頃ともに過ごしたりしてそれなりに意思の疎通ができるものの、それが離れていくと疎遠な関係性になりがちです。そういった事情で共有不動産についての共有者が
- 連絡がつかない
- そもそも誰か知らない
というような状態になることもあります。連絡がつかない状態になると、裁判上の手続きで不在者管理人を選任するなどの方法が必要になってくるため手続きが煩雑になってしまいます。
離婚後、住宅ローンと不動産の共有が問題に…
相続の次に不動産の共有問題でトラブルになるのが離婚時です。
離婚後はできるなら共有不動産売却して財産分与…
婚姻期間中に夫婦で購入した不動産で、住宅ローンの収入合算やペアローンの関係で不動産の名義自体も共有名義にする場合もあります。
そんな場合、婚姻関係が続いていれば全然問題はありませんが、離婚するということになったときに手続きが大変になります。
離婚した時の共有不動産について
- 共有不動産を売却して財産分与
- 共有不動産を片方の配偶者が使用
というような動きになることが考えられますが、①に売却に関していうと、住宅ローンにより新築住宅を購入したときによくあることですが、市場価格で売却したとすると離婚時に残っている住宅ローン借入を完済できないという状態の場合が多く現実的ではないケースが多いです。
そうなると②になりますが、よくあるパターンでいうと、奥さんと子供達がそのままその家を使用し続け旦那さんが賃貸住宅などを借りて出ていく。そして「住宅ローンの支払いはこの割合で」というような取り決めをするというパターンになります。
離婚後、元配偶者が計画的滞納
先ほども紹介したように共有名義で不動産を購入してその後離婚した場合には、
- その不動産を売却しても住宅ローンを完済できもしないので売却も困難
- 金融機関は2人に対してお金を貸しているので共有名義を解消することに難色を示す
- もちろん一緒には住みたくない
というようなことになり、片方の配偶者がその家を使用し、もう片方は賃貸住宅などに引っ越すという場合が多いです。
ですがそうなると、今まで通りの住宅ローンの支払いと、新たに賃貸住宅の家賃の支払いが増えることになります。さらにいうと離婚した元配偶者は感情的にはそれほどお金をかけて養っていきたいという気持ちは薄れてしまっているため、住宅ローンの支払いは続けるという約束であってもそれが滞るケースは多々あります。
夫婦で連帯して住宅ローンを組んだ場合の多くが、片方が滞納した状態になると、もう片方に全額請求することができるため、故意に元配偶者が住宅ローンを滞納し問題解決を図るという場合もあります。
離婚系は本当に解決策がないというのが難しいところです。
持分買取専門業者と共有になって…
相続や離婚などの問題もそうですが、人間関係の敵対感情と共有名義の不動産が合わさると大きなトラブルになります。
離婚などでは先ほど解説したように自分の共有持分だけ買ってもらってもその売却金額で住宅ローンを完済できないのであまりありませんが、相続の場合は持分買取専門業者に自分の持分だけ買い取ってもらうという動きもあり得ます。
最終手段・自分の共有持分だけ売却
共有名義の不動産を処分したいときに、他の共有者が売却する意思がない場合は最終手段として、自分の持っている共有持分のみ専門の買取業者に買い取ってもらうしかありません。
ですが、共有持分を買い取る専門の業者は
- 共有であるということを理由にめちゃくちゃ安く買い取って
- 他の共有者をなんとか追い出してもしくは説得して
- その不動産全体を高く売却して利益を得る
というような形で儲けるしかない業者です。買い取ってもらった人にとっては市場価格では当然売れませんし、何より残りの共有者にとっては敵対的な行動に受け取られるケースがほとんどです。
共有持分売却はまさに自爆
しかし共有持分だけ他人の手に渡っているケースは時々あります。しかし冷静になると売却した人は損をしています。
共有不動産の持分を持っていたという状態を解消できたという言い方もできますが、資産価値で考えるとすごく低い価格で財産を奪われたとも言えます。
こういったことをなぜするのかという部分は「自爆」の要素が強いかもしれません。相続で兄弟などで不動産を共有している場合、親族関係で何も言えない状態の共有に甘えて一方的に得をしてきた相手に対して、共有名義を他人に変えることで「仕返し」をしているというような、そんな感情の部分が見える場合があります。
嫌がらせをするのは良いですが、それで他人の買取業者だけが得をしてるのはそれはそれで気持ち悪くはないでしょうか?
まとめ:共有名義の不動産の売却トラブル事例
- 相続関係の複雑化で不動産の売却トラブルになることも
- 離婚の場合は金銭的に解決が難しい場合が多い
- 相続の場合は感情的に解決が難しい場合が多い
共有などという「くだらない」権利関係は変わらないのに、どちらかというと「尊い」人間関係が先に変化してしまうのは悲しいものです。
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