マンションを購入する場合にも諸費用と呼ばれるような物件代金以外の費用という物があります。その中でもマンション特有の費用に管理費・修繕積立金の精算金があります。
売主からすると管理費や修繕積立金をいつまで払うことになるのかという部分にもなります。
今回はそんなマンションを売却する際の管理費と修繕積立金の精算や滞納がある場合について解説していきます。
マンション売却時の管理費・修繕積立金の精算
マンションを売却する場合には管理費と修繕積立金の精算をする必要があります。
なぜ管理費や積立金を精算するのか
マンションを売却すると売主から買主にマンションの所有権が移るため、管理費や修繕積立金の支払い義務も売主から買主に移ります。
ですがマンションの管理会社の手続きの処理期間もありますし、月末ぴったりに引き渡すことも少ないですので、「何月分から買主さんが管理会社に払うことになります」という感じの手続きだけで解決する取引は少なくなります。
引き渡しが済んだ後、本来は買主さんが負担すべき期間であっても、手続き上売主側で管理会社に支払うことになる期間というのも出てくるわけです。
そうなると売主と買主で不公平な取引になってしまいますので、そういった期間の日数を計算し日割り生産をするのが一般的です。
いつまで売主支払いになるか管理会社に確認
まずマンションを売却する旨マンションの管理会社に伝えて、「いつから管理費や修繕積立金の支払いを買主に変更してもらえるか」確認する必要があります。
よくあるパターンとしては
- 「来月分から変更できます」
- 「再来月分から変更になります」
というような感じになります。
引き渡しまでに余裕があって早めに手続きができる場合は、日割り精算の金額は少なめにできますが、タイトな日程の場合は手続きが間に合わず、引き渡し後の1ヶ月分丸ごと売主が管理会社に支払うことになる場合もあります。
管理会社にいつまで売主支払いになるのか確認ができたら、あとは引き渡し日によって日割り分を計算することになります。
引き渡し日が決まったら日割り精算
マンションの引き渡し日が決まったらいよいよ管理費と修繕積立金を日割り精算していきます。例えば
引き渡し日が6月10日
7月分からは買主口座から引き落とし可能な手続き状況
の場合は、売主の所有期間は6月1日から6月10日の10日間、買主の所有期間は6月11日から6月30日の20日間になります。
このマンションの管理費と修繕積立金はあわせて30,000円ですので、1日あたりは1,000円。
売主の6月の負担額は1,000円×10日=10,000円
買主の6月の負担額は1,000円×20日=20,000円
となります。ですがこの管理費と修繕積立金は全額売主が管理会社に支払うことになりますので、買主の負担分である20,000円を、買主が売主に「管理費・修繕積立金の精算金」として支払うことにより費用負担を公平にすること作業を行います。
マンション売却の管理費・積立金でよくある話
マンションの売却の管理費や修繕積立金でよくある話を解説していきます。
売主の滞納がある場合の対応
まずマンションの売主が管理費や修繕積立金を滞納している場合には、もちろん黙って売買することはできません。重要事項説明書に滞納額を記載して買主に告知した上での取引になり、滞納額の支払い義務は買主に承継されることになります。
区分所有法によっても
区分所有者が規約・集会決議に基づいて他の区分所有者に対して有する債権は特定承継人に対しても行うことができる
区分所有法7条1項、8条
と定めていますし、国土交通省の見解としても、中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)において
この規約は、区分所有者の包括承継人及び特定承継人に対しても、その効力を有する
中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)5条
と定めており、またこれに従ってほとんどのマンションにおいてもこのような管理規約になっているということもあり、売主が滞納していた管理費や修繕積立金も買主に支払い義務が承継すると考えられています。
また滞納の告知義務に関しても不動産業者の仲介における義務として、
「建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額」(修繕積立金)、及び、「建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額」(管理費)を重要事項として説明しなければならない
宅地建物取引業法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第5号・6号
としており、さらに国土交通省の見解として
修繕積立金や管理費に滞納があるときには、滞納額も説明しなければならない
「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方について」
と定められているため、重要事項説明などの際に滞納がある場合は必ず告知することが求められています。
基本的な対応としては、売主が支払うことができるのであれば滞納なんてしていないわけですから、売主がまとめて支払ってから取引をすることは少なく、売買代金から滞納額を差し引いて売買するなどし、最終的には買主側から滞納額を支払う場合が多くなります。
売っても支払った修繕積立金は返金されることはない
マンション売却時に売主さんで時々勘違いをされている方がいるのが、マンションを売却したら支払った管理費や修繕積立金が返金されると思っているというパターンです。
管理費はもちろん売主さんが住まわれている期間のマンションの管理に使われていますので、返金というよりかは、もう使って残っていないという考え方が正しいです。
修繕積立金に関しては、「積立」という名前の通りまだ使われておらず貯金されてはいますが、先ほどの滞納の話と同様にルール条は、積み立てたものも売主から買主に承継されることになります。
マンションの修繕積立金はマンションを大規模に修繕するときに不可欠のマンション共有の財産ですので、売却したということで引き出しされてしまうと将来的な健全なマンション管理は不可能になりますので、支払った分の返金をしてもらえることはありません。
まとめ:マンション売却の管理費・修繕積立金の精算
- マンション売却の引き渡し日が決まったら管理費・修繕積立金の日割り精算
- 売主の滞納分も買主が支払わないといけない場合が多い
- 修繕積立金は返金されると誤解している人が稀にいる
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