住宅ローンを組んで購入した不動産を売却する場合には、不動産に設定されている金融機関側の抵当権を消さないと、一般的な売却はできません。
ただ住宅ローンを完済しただけでは、不動産の登記は変更されません。抵当権抹消登記という手続きが必要になります
今回はそんな抵当権設定登記の手続きに必要な、抵当権抹消書類について紹介していきます。
銀行から抵当権抹消書類が届く
住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権の抹消書類が届きます。金融機関としては「お貸ししていたお金は全部回収したので、抵当権の登記を消しておいてくださいね」というような書類になります。
抵当権を抹消しないとその不動産を自由に売却するのも難しいので完済した場合は抵当権の抹消をしておくようにしましょう。
送られてくる書類の中で大切なものは登記済証と抵当権解除証明書と委任状になります。
登記済証または登記識別情報通知
登記済証また登記識別情報通知は金融機関が住宅ローンを融資し抵当権を設定した時に作った書類になります。金融機関で保管されローンを完済した後に渡されます。
平成18年より前に買った不動産については登記済証、それ以降の物件には登記識別情報通知という書類になっています。登記識別情報通知には12桁の符号が書いてあります。
登記原因証明情報(解除証明書)
登記原因証明情報は住宅ローンの返済が完了したことを証明する書類です。金融機関によって名前が違う場合がありますが、
- 抵当権解除証
- 弁済証書
- 抵当権放棄証書
などなどこういった言葉の組み合わせで呼ばれたりします。
委任状(代理権限証明情報)
委任状は抵当権者である金融機関が、借主に対して抵当権抹消登記の手続きを法務局に対して行ってイイですよという委任状になります。
抵当権抹消登記を含めて登記は当事者が共同して申請する必要がありますが、申請手続きを相手に任せることもできます。抵当権抹消登記の場合は金融機関にとっては正直「抹消してくれても放置されてても実害がない登記」になるため、わざわざ積極的に抹消作業を進めるメリットもありません。
ですので一般的には住宅ローンの返済が終わったら、借主側に書類を渡し手続きをしておいてくださいという「委任」という形を取ります。
その他にも金融機関の資格証明書や抵当権抹消のやり方に関する書類なども郵送物には入っている場合もあります。基本的には司法書士に依頼して抵当権を抹消する場合が多いですが、封筒ごと司法書士に渡すというような場合が多いです。
抵当権抹消登記書類を紛失した場合
住宅ローンを完済した後に金融機関から抵当権抹消書類が届きますが、抵当権抹消登記をすることなくいたら、その書類自体を紛失するというケースもあります。こういった場合どうすればいいのでしょう。
再発行ができる書類
先ほど解説した3つの住宅ローンを完済した後に送られてくる抵当権抹消書類の中で再発行ができる書類は、
- 登記原因証明情報(解除証明書)
- 委任状(代理権限証明情報)
です。
こちらの書類は紛失したことを伝えて金融機関に再発行してもらいましょう。その他に同封されている「金融機関の資格証明書」は法務局で取得できる書類ですので、多くの場合は法務局で取得するように言われます。
再発行ができない登記済証
逆に再発行ができない書類は登記済証・登記識別情報通知という書類になります。これは抵当権を設定したときに法務局が作ってくれる書類で1部しかなく、住宅ローン返済中は金融機関が保管し、完済すると借主に送られるので、それを紛失されるともう再度作ることはできません。
紛失した時の手続きもある
しかし金融機関から送られていきた登記済証もしくは登記識別情報通知を紛失したら抵当権抹消登記ができないというわけではありません。事前通知制度と資格者代理人による本人確認情報制度というものを利用することによって抵当権抹消登記を進めることができます。
事前通知制度は、正当な理由で登記済証および登記識別情報を提出できない場合に、法務局の登記官が登記名義人の本人確認を行った上で登記申請を受理する制度のことです。
簡単にいうと法務局さんが金融機関に「抵当権抹消登記の申請がされているけど、これって本当ですか?抹消してもいいんですか?」という確認をしてもらう制度です。
資格者代理人による本人確認情報制度は登記名義人が登記済証および登記識別情報を提出できない場合に、司法書士などの特定の有資格者が作成した「本人確認情報」をもとに登記を行う制度です。
こちらも簡単にいうと司法書士が抵当権抹消登記についてキチンと確認していますという書類を作って法務局に申請するという制度になります。
意外と多い抵当権抹消登記し忘れ
不動産売却をしているとかなり昔に住宅ローンの完済が終わっている物件にいまだに抵当権がついている状態をよく見ます。住宅ローンを借りられたご主人はすでに亡くなられていてという感じの十年以上前の抵当権も普通にある場合も多いです。
こういった場合は抵当権の抹消書類がきちんとある場合は少ないですので、紛失した場合の登記手続きをする必要があります。
抵当権抹消登記をし忘れても特に誰にも実害はありません。抵当権の性質のページでも説明しましたが、本体の住宅ローン借入というものが無くなってしまった段階で抵当権というのも効力を失っているので、「ただ書いてあるだけで誰も行使できない権利」になっているだけです。
ですが、登記識別情報通知を紛失してしまった場合の手続きを利用したり、時には金融機関の組織変化によって登記情報が変わり抵当権抹消登記の手続きが煩雑になる可能性もありますので、住宅ローンを完済した場合は後の手続きのためにも抹消登記までしっかり完了させておきましょう。
まとめ:抵当権抹消登記の書類
- 登記済証・登記識別情報通知は再発行できないので要注意
- 抵当権抹消を許可する書類が渡される
- 紛失したとしても抹消登記はできないことはない
- 登記手続きが煩雑になる場合もあるので完済したら抹消登記までしておこう
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