不動産業者をしていると事故物件の売買というお仕事もやってくるわけで、

お化けが出てきたとかそういう経験はないですが、事故物件は感情について考えさせられる部分もあります。
今回はそんな事故物件の不動産売却での出来事を現役不動産業者が紹介していきたいと思います。
事故物件であることを隠して販売?

一般の方が「事故物件 不動産業者」というセットで考えていただくと「隠して売る」というようなイメージを持っている方も多いと思います。
一般のイメージと違って告知しまくる不動産業界
ですが、よっぽどの不動産業者でない限りは心理的瑕疵と呼ばれる要素を隠し売る不動産業者はほとんどいません。
なぜなら
- 近所の人と数分話せばすぐバレる
- 結構裁判とかでも不動産業者が負ける(知らなかったじゃ通用しない)
からです。不動産売却について不動産屋は売主と綿密に打ち合わせするわけで、その過程でそういった事件事故をスルーして会話が成立し続けたとは考えづらい状態にどうしてもなるからです。
心理的瑕疵を隠す不動産業者
そんな中でも状況によっては「隠す?」と言える状態になるんじゃないかという取引もあります。

私の担当させてもらった物件のお話をさせていただきます。
ある中古一戸建てを探しているお客さんを担当したときのことです。資料にも何も告知事項などは書かれておらず、売主側の不動産業者からも事故物件であることは伝えられていない状態でした。
ですが物件のご案内時に近所の方と立ち話をすると6年前に最後に住まれていたお爺さんが浴室で亡くなっているのが見つかって、見つかった時は警察まで来られたというお話を聞きました。売主側の不動産業者にこの話を聞くと
「知らなかったです。売主から聞いてません」の一点張り。そして現在の売主さんが誰なのか聞くと、その亡くなったお爺さんの娘さんということ。
こんなケースは。

いや。聞いてないわけあらへんやん。聞いた上で、自然死やしちょっと期間経ってるからワンチャン告知なしでいこうとしてたやろ
っていう疑いが出ます。こんな不動産業者もいることはいます。本当に知らなかった可能性もありますが、事故物件であることを隠して売ろうとしていた可能性が高いと思った案件でした。
事故物件を気にしない外国出身の方

事故物件を売らないといけないときの、不動産営業マンにとっての救世主は事故物件専門買取業者ではありません。後で言いますが買取価格が安すぎて話にならない場合がほとんどです。
事故物件の本当の救世主は「外国出身の方々」です。
日本人より全然気にしないですし、安いのでむしろ喜んでくれているくらいの感じです。
そう言った外国人の方で事故物件を購入される方とお話ししていると、そもそも人の死に関しての感じ方が違うということをおっしゃる方います。
日本人は亡くなった人の幽霊を怖がるけど、私は怖くない。その代わり自分は宇宙人・妻はピエロが怖いということを言っている方もいましたし、
出身国によっては家で人が死ぬのが普通で、病院で亡くなることの方が珍しいし。って言われて事故物件にも忌避感を感じない方もいました。
また日本の事故物件になることによる価格の低下の割合が大きいということで、気持ち悪いよりもそっちのお得感が勝ってしまうという意見も多いです。
マンションやハイツ全体の価値が低下

事故物件の難しいところは周辺の価格相場にまで影響を与えるケースがあるということです。マンションやハイツの場合は一部屋でそのような事件事故が発生するだけで、建物の他の部屋の売却価格や賃貸価格に影響する場合があります。
隣接する不動産の心理的瑕疵は告知義務がない
マンションなどで隣室で事件や事故があった場合に不動産業者に告知義務があるかと言われると、やはりこれも事件事故の規模・態様によるのではっきりとしたことは言えませんが、「一般的には告知義務はない」という考え方が主流になります。
国土交通省の発表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると
対象不動産の隣接住戸・日常生活で通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した事件・事故については告知する必要がない。
国土交通省のガイドライン概要
となっております。
また東京地判平成26年8月5日の判例などでも、自殺の発生した部屋の隣室や階下の部屋の告知義務を否定したものが見られます。
とはいえネットで調べてみると・・・
とはいえ有名な事件などになってくるとマンション名を検索するだけで、Googleのサジェスト機能で多くの人が検索している用語が出てしまい「〇〇マンション 殺人事件」などと出てくることもあります。
また事故物件の情報を投稿形式で集めているサイトなども存在しますので、そういったところでも情報が残っているということもあります。
そうなるとマンション全体として欲しいと思う人も少なくなってしまい、マンション全体の相場に影響を与える場合もあります。
空室ばかりの集合住宅を調べてみると
賃貸住宅などに関しても同じような話は言えます。賃貸は特に隣接する住戸で、自分たちが気持ち悪いなと思うことがあればすぐに引っ越すことができます。そうなると事件や事故があるとそのハイツに住んでいる方々が転居してしまう可能性もありますし、次に入居が決まりにくい場合もあります。
新築一戸建てを販売するときにチラシなどを配布するときに、新しめの賃貸住宅なのになぜかほとんどのお部屋が空室のハイツなどもあり、調べてみると大きな事件があったハイツだと分かったということもあります。
事故物件買取専門業者は正直「買取価格安すぎる」

そんな事故物件を所有されている方々がネットで検索すると「事故物件買取専門業者」という広告を見ることがあると思います。
これは売却の難しい事故物件の所有者にとってはありがたいサービスになりますが、この事故物件買取専門業者のメリットは「早く現金化できる」ということだけです。
やはり事故物件専門の買取業者も、その物件を再販売して儲けるというビジネスをしているわけで、普通に考えると同じようなことを自分ですると、その買取業者が儲けられるくらい「高く」販売できます。
逆に言うと買い取って再販売して利益が出る金額でしか買い取れないと言うのは当然の話です。

事故物件あったら紹介してください!って買取業者さん言うけど、買取で提示する金額安すぎて一回も取引したことない企業なんてめちゃくちゃあります。

その値段やったら事故物件専門買取業者でもないウチが買取ますって金額提示の時も多いですよね。
事故物件は多くの場合、早く手放したいとか、早く片付けたいという気持ちがありますので、どんな金額でも良いという考え方もあるでしょうが、そういった場合にもやはり他の方法も考えるべきです。
まとめ:事故物件売却の裏話
- 普通は告知義務は完璧に果たすが、隠そうとする不動産業者もいる
- 外国出身の方は気にしないケースもある
- 集合住宅では隣接住戸やマンション全体に影響も
- 事故物件専門買取業者は大体買い取り価格安すぎる
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