不動産売却をしたい場合にまず査定というものをしていきます。そんな不動産の価格査定にも「机上査定」と「訪問査定」があります。
簡単にいうと実際に現地に行くのが訪問査定、行かないのが机上査定です。
詳しい違いについてはこちらのページをご確認ください。
そこで多くの人が気になるのが机上査定と訪問査定の査定金額の正確性ってどれくらい変わるものなんですか?という話。現地に行って実際に見ている分訪問査定の方が正確なのは間違いないですが、これってどれくらい正確性が変わるの?っていう話をしていきたいと思います。
机上査定と訪問査定がそんなに変わらない
机上査定と訪問査定では正確性が違うので真剣に売却を考えている場合は訪問査定がいい、というような話はよく聞きます。
しかし現役不動産屋が正直に言うと、「そんな変わらない場合も多い」ということも言えます。
査定価格算出は机上査定の要素が多い
一般の方に机上査定と訪問査定でどれくらいの査定額の正確性の違いがあるか聞くと、査定価格を出すにあたって検討する要素を「机上査定で5割、訪問査定で残りの5割を検討する」というような雰囲気で考えられる人もいるかと思います。
ですが物件にもよりますが、実際は「机上査定で8割、訪問査定で残り2割を検討」して査定価格を出すようなイメージです。それくらい机上査定における不動産の取引事例のデータによる査定というのが価格査定の重きを占めています。
特にマンションや土地の価格査定などは情報さえあれば現地に行かなくても大体価格は出せてしまいます。
しかし不動産営業マンやネット情報などでは「訪問査定の方が正確な価格が出せるので訪問査定がおすすめ」ということを言います。あれは正直にいうとお客様にお会いするために言っている要素が強いです。
建物がどんな状況でも無価値
マンションや土地は机上査定で正確な価格が出せてしまうと言いましたが、これは建物の状態など現地を見ないといけない要素で価格が大きく変化する心配があまりないからです。マンションは建物の躯体自体に大きなダメージがあるケースは一戸建てに比べて少ないですし、土地については上に建物が載っていないので建物の状態は関係ありません。
さらにいうと中古一戸建てに関しても、古い中古戸建はそもそも建物に価値はないというケースも多いですので、それほど机上査定と訪問査定で出した価格の誤差が出にくい場合も多いです。建物がどんな状態であっても無価値ですというような場合は中古一戸建ての価格査定でも机上査定で正確な数字が出てきやすいです。
逆にいうと比較的築年数の浅い中古一戸建ての場合は建物の状態という部分も大切になってきますので、査定価格を出すにあたって訪問査定の重要性が増します。
査定価格はそもそも媒介契約を取るための…
これを言うと元も子もない話ですが、そもそもどちらの査定価格も正確ではないという話もあります。
不動産業者が提示する査定価格は訪問査定であろうと机上査定であろうと、その物件の売却を依頼してもらうために出している金額です。何もこの金額で売れたでしょ!あたったでしょ?っていう当て物をしているわけではありません。
最近では媒介契約を得るために高すぎる価格査定をして売却意欲を高めておいて、その後価格を下げてもらうという手法も横行しています。
そういった意味では訪問査定と机上査定がどれだけ正確かというのは「どちらにしても適当な業者はいる」ということも言えてしまうので、価格査定をする不動産業者の程度によっても変わってくる部分があります。
訪問査定は不動産営業マンを本気にさせる
机上査定と訪問査定で査定価格の正確性が大きく変わる要素としては「不動産営業マンのやる気」です。
机上査定はまだ売却意欲が高くない人が多いですので、査定をしたところで実際仕事を依頼してもらえる見込みが低い案件になります。逆に訪問査定は机上査定と比較すると見込みは高くなります。
そうなると訪問査定の案件の方が不動産営業マンもやる気を持って価格査定に取り組みます。
いや全部本気で仕事しろよと思うかもしれませんが、あくまで「比較」の話です。
複数のお客様の対応をしているときに机上査定の方と訪問査定の方の査定準備をしないといけない場合、限られた時間の中ではやはり訪問査定の方のほうを優先的に力を入れることになります
そうなると同じように取引事例を調査してまず机上で査定価格を出してみる作業をするわけですが、片方では大体の面積やエリアで事例を出してそのリストを見て価格に当たりをつけるだけだったのに、もう片方では売却事例の当時の資料を一つずつ見てみたり、少しエリアを広げて相場を見たり、時系列順に並べて相場の上昇や下降を検討したりして机上査定をしたりします。
AI査定とかは正直不正確
このように査定価格の正確性は机上なのか訪問なのかという査定の方法によって決まっているわけではなく、実際に情報を分析する不動産営業マンのやる気にも左右される部分もあります。
それに対して人が関与しないAI査定というのも最近ではあります。人や企業にはやる気にムラが出てしまうからAIとかの方が良いんじゃないの?という考え方もありますが、現状のAI査定は人間が行う価格査定より不正確な場合が多いです。
これからの進歩できっと改善していくものとは思いますが、AI査定による価格査定は営業マンがするように取引事例をもとに価格を出しますが、参考にする取引事例のエリアなどの設定によっては大きく価格が変化してしまいます。
一つの問題としては不動産売却は地域性や個別の事情によって価格が変化するものであり、それにAIが対応できるほど取引事例がたくさんあるわけではないということです。問題が難しすぎる割に学習できるほど過去問もない状態です。
こういった状況も色々な改善でうまくいくようになるとは思いますが、現状ではなんでこの金額になった?っていうようなAI査定も多いです。
机上査定と訪問査定がめちゃくちゃ変わるケース
不動産売却における価格査定は机上査定をちゃんとすればほぼ正確な数値が出る。というような話をしてきましたが、やはりそこに訪問査定を加えると現場で
思ってた感じと違う!
ってことになるケースもあります。そんな机上査定と訪問査定で価格が変わってしまう例を紹介します。
築年数の割に建物の状態が良くない
先ほども言いましたが、築年数の浅い中古一戸建てに関しては訪問査定で価格を出すのがベストです。
新しい中古一戸建ては基本的にはまだ新しいということもあり、建物の状態は良い、つまりはまた別の方が購入されて住むこともできる状態というのが多いです。そういった意味では机上査定である程度の金額を出せば現地物件を見ても、机上査定で考えていた通りの金額では売れそうだなということもあります。
しかし場合によっては築年数の割には状態の良くない一戸建てというものもあります。我々が経験した事例でいくと
- シロアリの害
- 太陽光発電を設置した時のミスで雨漏り
- 新築時の施行ミスと考えられる雨漏り
- 地盤沈下による傾き
- 魔改造で柱が切断されている
などなど現地に行くと机上査定では絶対にわからない情報が出てきて査定価格が大きく変わることもあります。
現地に行くと近隣の状況に問題あり
もう一つ訪問査定で初めてわかることの多い要素は、物件の周辺の環境です。例えば
- 隣の家がゴミ屋敷化している
- 隣の部屋からの騒音がある
- 隣地からの越境物がある
などなどです。あそこの工場の騒音がすごいとか、あそこのコンビニ潰れたとかは地域の不動産業者なら把握しているケースも多いですので、そういったものは机上での査定に盛り込めますが、このような個人の話に近い部分になると不動産営業マンも知らないことが多いですので、現地で訪問した時に知って価格を検討しないといけない場合があります。
まとめ:机上査定と訪問査定はそんなに変わらない?
- 不動産の価格査定は机上査定でできる要素が強い
- 現地情報もそこに足して確認的に訪問査定をする
- 不動産営業マンのその案件への本気度でも査定の正確性は変わる
- そもそも査定が売却依頼を受けるために適当に出してくる場合もある
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