不動産を売却したら税金かかるの?知っておきたい譲渡所得税

売却の基礎知識

不動産を売却するときにかかる出費として仲介手数料や登記費用などが注目されがちですが、もう一つ大きな出費が「譲渡所得税」です。

おるすま北脇
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意外と見落としがちで、よくわかっていない不動産営業マンもいます。

今回はそんな不動産売却における譲渡所得税について詳しく解説していきます。

不動産売却の譲渡所得税とは?

不動産を売却したら税金かかるの?知っておきたい譲渡所得税

利益を得た人にはその利益の分から税金を納める必要があります。不動産を売却した場合にも利益が出ると納税する必要が出てきます。

譲渡所得税とは何?

 不動産譲渡所得税は、不動産を売却する際に得られた所得(利益)に対して課税される税金です。 具体的には、不動産の取得価額から売却価格を差し引いた金額が利益となり、その利益から売却にかかる諸費用(仲介手数料など)を控除した額に対して所得税が課されます。

★譲渡所得税の計算式

不動産を売却したら税金かかるの?知っておきたい譲渡所得税

 売却価格を取得価格が上回った場合、つまり損失がある場合は、譲渡所得税はかかりません。あくまで不動産を売却して利益が出た時だけ、必要な税金ということです。

 ただし、中古戸建・中古マンションの場合、建物部分は耐用年数に応じて減価償却されます。簡単に言うと、「買ったときは新品で価格も高い、でも、築年数が経った今は建物部分も古くなったので、取得価格もその分安くしましょうね」という決まりです。減価償却の分で結果的に利益が出てしまったということもあります。減価償却は木造か鉄骨造かなど、構造によって法律で耐用年数が決まっていますので、詳細は税理士に相談していくことになります。

譲渡所得税の税率

 売却する不動産の所有期間が5年未満の場合は短期譲渡所得として税率約40%所有期間が5年以上の場合は長期譲渡所得として税率約20%が利益にかかります。税率は、厳密には下記のような内訳になりますが、シミュレーションをする際はざっくり20%または40%で計算するとよいでしょう。

★譲渡所得税の税率内訳(2023年4月時点)

不動産を売却したら税金かかるの?知っておきたい譲渡所得税

申告方法と納付

 譲渡所得税は、確定申告の時期に申告します。会社員の方は普段は年末調整となりますが、不動産を売却された場合は確定申告を行います。

 確定申告の対象は所得税のみですが、譲渡所得税の場合は住民税も同時に申告することになります。確定申告書と添付書類を揃え、税務署の窓口や郵送、オンラインで手続きします。申告に必要な書類は、税務署の窓口またはオンラインで入手可能です。確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。2月16日または3月15日が土日祝日と重なる場合は、翌平日からの開始日または期日に変更されます。

 譲渡所得税は、税務署や銀行の窓口、コンビニ、クレジットカードなど、他の公共料金の支払いに使える方法と同様の方法で納付することができます。確定申告をすることで納付書が送られてきますので、まずは確定申告を進めることが大切です。

 ただし、実際に譲渡所得税の確定申告をする際は、わからないことや難しいこともたくさん出てくることが多いと思いますので、税務署に相談しながら進めていきましょう

具体的にシミュレーション

 こんなことを言っても譲渡所得税が実際にどれくらいかかるのか、よくわからない方も多いと思います。

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具体的にシミュレーションしてみます。

例 2500万円で10年前に購入した中古マンションを2700万円で売却した場合

(売却価格)2700万円-(取得価格)2500万円-(売却時の諸費用)約100万円 × 税率約20%

=100万円×税率約20%

約20万円

 ※取得価格の減価償却は無視

 ※売却時の諸費用=仲介手数料・登記費用・印紙代

 利益100万の内、約20万円を税金として納めなければならないことになります。もちろん、利益が大きくなればなるほど税額は大きくなっていきますので、決して無視できない出費と言うことができますね。

 担当営業マンが無知のために、譲渡所得税についての説明もないまま、売却を完了し、忘れたころに税務署から追徴課税を言い渡される可能性もあります。

 私たち不動産業者が、税金の相談を受けることは税理士法で禁止されていますが、少なくとも「税金を払わなければならない可能性がある」ことを事前に教えてくれる仲介業者に売却を依頼することは自己防衛のためにも必要です。売却を検討されている方は、営業マンから税金についての説明があるかどうか、知識をしっかり持っているかどうかを確認しましょう

不動産の売却ノウハウだけでなく周辺の税務についてもきちんと知識があるのかチェックが必要です

譲渡所得税を払わなくてよい場合

不動産を売却したら税金かかるの?知っておきたい譲渡所得税

不動産を売却をしても利益が出ていないと税金を納める必要がありません。その他にも一般の国民に過度な税負担にならないように条件付きで納税を免除・軽減する制度などもあります

利益が出ていない場合は不要! 購入時の契約書の有無に注意!

 上記でご説明した通り、譲渡所得税は「売却して得られた利益」にかかるため、利益が出ていない場合は譲渡所得税は課税されません。また、一般的に戸建を売却する場合、購入時は建物部分の価値を含めた価格で購入しているため、売却価格が取得価格を上回り、利益が出るケースはほとんどありません。もともと未開の地だった場所に、駅が設置されて周辺が開発され、地価が高騰した場合は、利益が出るかもしれませんが、現状においてはそのような極端な例は見受けられません。

 しかし、取得価格は、購入時の契約書に記載の価格をもとに判断するため、万が一、購入時の契約書がない場合は、「売却価格の5%相当額を取得費」とみなされます

先の例で、購入時の契約書がない場合でシミュレーションすると、

(売却価格)2700万円-(取得価格)135万円-(売却時の諸費用)約100万円 × 税率約20%

=2465万円× 税率約20%

約493万円

 購入時の契約書の有無だけで、約470万円以上も払う税金が増えたことになります。現在売却を検討されている方は購入時の契約書を全力で探しましょう。そして、購入を検討されている方は、契約書や重要事項説明書などをしっかり保存してください。

譲渡所得税を払わなくて済む制度を使う

「譲渡所得税からは逃れられないのか」とあきらめている方に朗報です。

譲渡所得税を払わなくて済むようになる国の特別制度があります。

居住用不動産(マイホーム)売却時の3,000万円特別控除

 自宅として利用していた居住用不動産(マイホーム)を売却した場合、その際に発生した譲渡所得が最高3,000万円まで非課税になる控除が受けられます。例えば、利益が5000万円の場合は、5000万円から3000万円を引いた2000万円に対して税率がかけられ、利益が3000万円以内であれば課税されないということになります。

 控除を受ける要件は、売主の居住用の不動産であること、譲渡先が配偶者・直系血族・同族会社ではないこと、前年や前々年にこの控除を使っていないことなどです。売却時に住んでいない物件だったとしても、居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までであれば、この特例を使うことができます。

 戸建や土地の売却では、売却益が出ず損することが多いため、あまりこの制度を使わなければならない状況になることは多くないでしょう。

 しかし、高騰が続く中古マンションや、東京や大阪など都心部の土地は大きな利益が出る可能性があるため、特別控除の適用を検討した方がいいでしょう。

 ただし、住み替えをされる方は注意が必要です。この3,000万円特別控除は、住宅ローン控除と併用することができません。つまり、住み替えで新居を購入しても、住宅ローン控除を使って税務上の優遇を利用することができないということになります。住み替えをされる場合は、3,000万円特別控除と住宅ローン控除のどちらを使った方が得なのかよく検討しましょう

 この制度以外にも、空き家を売った時の特例や、農地を売った時の特例など、さまざまな特例があります。売却時にどの特例が適用できるのか、仲介業者や税務署に確認しましょう。

どんなことでも不動産営業マンにご質問いただければと思います。

まとめ:不動産を売却したら税金かかるの?知っておきたい譲渡所得税

・売却利益に対して約20%~40%の税金がかかる!

・税金の知識のある営業マンに売却を依頼しましょう!

・売却益が出たときは「3,000万円特別控除」を使いましょう!

 今回の記事では、譲渡所得税について解説してきました。実際に売却を進めていく場合は、仲介業者への相談に加えて、税務署や税理士への相談も必ずしましょう。税理士以外が具体的な税金の相談を受けたり、税額の計算をしたりすることは税理士法で禁止されています。仲介業者から大枠の説明を受けた後は、必ず税務署や税理士に相談してください。国税局が無料で電話相談もしていますので、ぜひ活用しましょう。

 おるすまでは、営業マンから税金に関する大枠のご説明をし、さらに税理士のご紹介もします。ぜひ、不動産売却をご検討されている方は、おるすまにお任せください。

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おるすま内田
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北脇敏寿

株式会社おるすま
不動産売却担当
大手不動産会社で不動産売却を担当。多くの売主様の相談に乗り、それぞれの物件に応じた販売戦略を立案、早期売却を目指します。何より誠実かつ正直に、お客様の立場でご対応します。不動産のことなら何でもご相談ください。

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